un coin quelconque de ce qui est

ドイツ・フランスの解釈学・美学関連の論文を翻訳・紹介。未発表の翻訳いっぱいあります。

ハンス・ローベルト・ヤウス『美的経験と文学的解釈学』(1982)目次

以下はHans Robert Jauß, Ästhetische Erfahrung und literarische Hermeneutik, Frankfurt/M (Suhrkamp) 1982 の目次。これをみると、先に翻訳した「否定性と同一化」が本書第一部のA・Bに相当することがわかる。]

 

 

        美的経験と文学的解釈学

 

                  序言

                      第一部

             美的経験の領域における試論

 

序論:美的経験への問いの刷新

 

A.美的経験の理論の輪郭とその歴史

第一章 美的経験とは何か

第二章 アドルノの否定性の美学への批判

第三章 美的享受と、ポイエーシス、アイステーシス、カタルシスの根本経験

第四章 美の両義性と非従順-プラトンの遺産をふりかえる

第五章 ポイエーシス:美的経験の制作的側面(組み立てることと認識すること)

第六章 アイステーシス:美的経験の受容的側面(知っていることよりももっと多くのもの見ること)

第七章 カタルシス:美的経験のコミュニケーション的能力(揺り動かすことと調停すること)

第八章 美的機能と生活世界の意味領野

     a)可笑しいものと滑稽なものとの線引き

     b)社会学的な役割概念と美的な役割概念

     c)個性の宗教的起原とその美的な解放

 

B.美的同一化-文学上の英雄に関する試論

第一章 美的同一化の主要な平面の境界確定

第二章 同一化の型の歴史学的解明

     a)連合的同一化

     b)賞賛的同一化

     c)共感的同一化

     d)カタルシス的同一化

     e)アイロニー的同一化

 

 C.フィクションのコミュニケーション的機能

第一章 フィクションと現実との区別の発生

第二章 想像的なものの魅惑作用としての完璧さ

第三章 歴史を直観したり呈示したりするさいのフィクションの使用

     a)歴史記述の目の上のコブとしての「なされたことres factae」

     b)古典的な仕方で物語る歴史記述の「三つの幻惑」の解釈学的機能

     c)ランケの歴史記述におけるフィクション的手段の使用の分析

     d)歴史を直観したり呈示したりする前物語り的な型を把握する兆し

     e)J・P・ヘーベル版の『焦土のモスクワ』(修辞的な歴史記述vs学問的な

       歴史記述)

 

 

                   第二部

            問いと答えの解釈学のための諸研究

 

序論:文学的解釈学の境界情勢

 

A.問いかけるアダム(問いと答えの機能の歴史のために)

第一章 アダム、お前はどこにいる?

第二章 けっして私に質問してはいけない

第三章 理解の始まりとしての問いかけ

第四章 最初の問いかけ、最後の問いかけ、好奇心からの問いかけ

第五章 教訓的な問いかけと、信仰問答書と、その帰結

第六章 去年の雪いまはいずこ

 

B.三つの美学的応用のケーススタディ

第一章 文学として解釈された堕罪の神話(創世記3)

第二章 ヨブの問いかけと、それに対する思いもよらぬ答え

第三章 問答法的な『ラモーの甥』と弁証法的な『ラモーの甥』

 

C.ゲーテとヴァレリーの『ファウスト』(もしくは、ミュトスに結末をつける難しさ)

 

D.アンフィトリオンの物語におけるミュトスの質問と自己同一性の確保

 

E.フランス啓蒙主義ドイツ観念論との間の〈地平の変化〉におけるルソー『新エロイーズ』とゲーテ『ヴェルテル』

第一章 ルソー『新エロイーズ』における期待と経験の間の亀裂

第二章 『新エロイーズ』と『若きヴェルテルの悩み』が答えとなるような問いの再構成

第三章 ドイツにおけるルソー受容の〈期待の地平〉としてのゲーテ『ヴェルテル』

第四章 ルソーに対するゲーテの最初の応答としての『若きヴェルテルの悩み』

第五章 『ヴィルヘルム・マイスター』への展望(美的な人間形成の『エミール』への展望」

 

 

                    第三部

            理解の〈地平の変更〉における詩的テクスト

 

序論:地平構造と対話性

第一章 地平どうしを媒介するものとしての理解と解釈

第二章 文学的コミュニケーションにおける対話的理解

第三章 回顧と展望

 

A.受容美学的アプローチの不十分さ(ラシーヌゲーテのイピゲネイア)

理論-論争へのあとがき

第一章 受容と作用

第二章 伝統と選別

第三章 期待の地平とコミュニケーション的機能

 

B.社会的規範を美的に伝達すること(「家庭の優しさ」)

第一章 叙事詩のイメージ領域から抒情詩のコミュニケーション機能へ

第二章 抒情詩によって呈示された深層意味世界の共時的分析 [ボードレール悪の華』第67節「夕べの薄明かり」における]「家庭の優しさ」

第三章 抒情詩の経験の社会的機能と、一八五七年の生活世界におけるそのコミュニケーション体系

 

C.現在と対話する過去のテクスト(古典はふたたびモダンなものになるか?)

第一章 過去を若返らせるものとしての美的経験

第二章 シラー『メアリー・ステュアート』へのヒルデスハイムの応答

第三章 プレンツドルフ『若きWのあらたな悩み』

 

D.読解の地平の変化における詩的テクスト(ボードレールの叙情詩『憂愁II』)

第一章 解釈学的問題として読解の多様な地平を引き剥がすこと

第二章 美的知覚の進歩する地平(第一の読解の解釈学的再構成)

第三章 〈解釈する理解〉の回顧的地平(第二の読解における意味構成)

第四章 受容の地平の変化における叙事詩の具象化(歴史学的理解と美的判断)